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アルミビジョンのブログ

某所から移転してきました。 主に音ゲーシミュ用の何かとDTM。

【再掲】Boundaryサウンドトラック[赤]の解説
※おことわり※
以下は旧アルミビジョン上で公開していた旧Boundaryサウンドトラックに掲載されていた、
赤Boundaryについての解説文章を増補改訂一切なしで再掲したものです。
執筆当時の2016年と再掲時の2024年では見解の相違がありますが、あえてそのまま載せています。
なにとぞご了承ください。




☆前置き・Darkened Red期について
 Boundary Darkened Red、ひいてはBoundaryの初回配信は2013年11月1日から配信開始になりました。
それまでに2012年、2013年とTwitter上で年始限定の「賀正パッケージ」というものをゲリラ配布しており、
もともとはBoundaryはそれの大型版という想定でした。(実際にはそろそろ3年目が終わりそうですが…)

 「賀正パッケージ」とBoundaryが大きく違うのは、
借り曲中心でまとめていた賀正パッケージに対してオリジナル曲を中心に製作したことです。
といっても、2013年の夏くらいに準備を始めたころにはかろうじてMIDIシーケンサをポチポチとやってなんとか1分の曲が作れていたころ。
音ゲーっぽい曲をパッケージたる量だけ作るのはかなり厳しいものでした。
加えて、Stepmaniaの「本家」に当たるゲームで新曲がなかなか追加されなかったころ。
それに対する当てつけか何か、「Boundaryは最低でも隔週更新する!」なんていう無茶な目標を立ててしまったものなので、
相当なデスマーチとあいなってしまいました。
Darkened Redが終わるころには(((隔週更新じゃクオリティもモチベも足らない…)))と気づいてしまい、
更新間隔はHeavenly Orange初期の月一更新、そして現在の不定期更新とズルズルと広がっていくのでした。

 さて、以降は曲ごとの個別解説ですが、その前にこの頃の楽曲全体の解説を。
元々MIDIを触っていたのがシューティングゲームのBGMが好きだからだったので、
この頃はどの曲も(音ゲーでない)ゲームのようなBGMらしさが強いです。
加えて、同時期に実社会の身内でグルーヴコースターやCytusなどのいわゆる「アプリ音ゲー」が大流行していたので、
それらの収録曲傾向に似せて、可能な限りテクノを避けようとした…痕跡が見られます。ええ痕跡程度です。
もう一つ、今だから暴露しますが、当時(ダッチ)トランスというものに今ほどいい感情を持っておらず、
その影響でトランス系の楽曲はかなりぞんざいな作りになっています。
今聴き返すと(((コイツ何ふざけてんだ?)))と本気で思ってしまうくらいに。




☆各曲解説
01 - タイトル画面BGM
FC内蔵音源を意識したチップチューンです。
「意識した」っていうのはSquSquTriNzの4パートしか使ってない、程度の意味で、
音源の仕様をちゃんと知らなかったのでやっちゃいけないことをいっぱいやっています。
Triを高速ベンドしてキックの音を作っちゃったり。

02 - 自己複製幼児化症候群(Extended Mix Boundary Version)
当時はこの曲を代表曲だと思っていました。なので自前のアレンジがいくつかあります。
クラフトワークっぽい音作りをしたいなあ、と思っていたはずなんですがどこにもそんな影ないですね。

03 - Boys Be Rewritable!
5鍵っぽいヒップホップを目指していました。声は一切乗っていませんが。
Boundaryの収録曲では珍しくフェードアウトで終わる曲です(そこも5鍵リスペクトということで)。

04 - Wipe y'all hands up
ジャンク品のSC-D70を購入したときに、音色調べがてら作った曲です。
「Rave Hit」という音色が分厚くて使いやすそうだなあ、と思って打ち込み始めたのですが、
あの音はわざと音を外しているタイプの音色で…

05 - Naive Japan
こちらはSD-80を購入したときの音色調べです。
よく「Studio Canvasはシンセが弱い」と言われますが、
現在はともかく、当時はすごく同意していました。
というか、Sound Canvasと比較すると、生系の音が揃いすぎてるし強すぎる…

あと私が作った「ハウスっぽくない和風インスト」ってこの文章を書いてる現在この曲だけかも。

06 - No, He is Tom. (2013 M01D House Style)
原曲は私がナイラーというHNを使う前に作ったマーチっぽい曲です。
譜面を作るときに原曲のままだといろいろとマズかったので、ハウスあるいはR&Bっぽい
しっとりとしたアレンジにしました。
最後のピアノのリタルダンドに苦しんだ人は多いのではないでしょうか。私も譜面作りの時に苦しみました。

07 - Yellow is NOT the Trance
(((スーパーソーを鳴らせばトランスになると思ってやがる…)))

08 - Tim-Pum-Cam-Pum
頭がおかしいくらい変拍子なテクノです。
7/4→5/4→4/4/→13/16→4/4→7/4と拍子が推移していきます。13/16拍子ってなんだよ。
当時の私はグルコスのゴモアに影響でもされたのかなと思いましたが、
EX稼働まで解禁してなかったはずなので単に変拍子がやりたかっただけなのでしょう。

09 - lithosphere
2曲目のExtra Stage曲です。
シュランツがやりたかったけどSound Canvasじゃあんなエグい音を出せないだろう、と判断して
フィルターが動く要素だけ取り入れたミニマル気味なテクノになりました。
歪み系の力を思い知りました。

後に(((SCシリーズでもシュランツ行けるんじゃね?)))と思って大失敗するのですが、それはまたそのうち。

10 - Spice Tornado
エレクトロショックです。音ゲーシミュ界隈ではもうエレクトロショックと言えば大体どういう曲か通じてしまう気がします。
3曲目のExtra Stageをこの曲か魔神狩りにするかかなり悩んでいたのですが、
そうこうしているうちに締め切りが来て、通常曲が全然できてなかったので、
通常曲といってもまだ違和感がないこちらが流用されてしまったのでした、南無。

11 - Fascinating Marriage
「Happy Synth」という音色を使ったハピコアです…ハピコア?
ジャンル名から結婚式を連想し、なので4つ打ち+鐘でリズムを作りました。
ラストサビ前はフレーズにも和音にも困ってひどいことになっています。

12 - Green is the complement of Trance
(((4つ打ちすればトランスになると思ってやがる…)))
パッケージの音源ではすさまじく音が割れていたのですが、
今回のために久しぶりにプロジェクトファイルを見るとわざと割る方向に調整していたようです。
だからといって意味は全く分かりません!

13 - kidnapper
あー、Macho Gangの真似事がしたかったんじゃないでしょうか?(他人事)
珍しくDelay Lamaなんか使っちゃっています。

14 - Snake Loop
蛇をイメージした曲です。「シー」というノイズとか、にじり寄ってくる感じのベースとか。
間奏のギターは賀正パッケージの時からフレーズを差し替えており、
そのフレーズをさらに「うしみつ時の牛の大行進」という曲のサビに流用しています。

15 - Future Vision (More Eurotic Style)
One More Extra1曲目の、80年代ユーロっぽい構成の曲です。
元々M01Dで打ち込んだものをPC上で音色差し替えをやって録音したものですが、
今思えば音色はそのままで使った方が面白かったかもしれません。

16 - Token 2
ナイラーを名乗る前に「Token」という曲を作っており、
若干スピードダウンするようなアレンジを施したのがこの曲になります。
ピアノ音色は正直今でも扱いが苦手なんですが、メロディをしっとりと聴かせられるように努力しました。

17 - Electron(真空の誘電率を覚えるよりクーロンの静電定数を覚えろ)
エレクトロという当時まともに聴いたこともないジャンルを想像だけで作るとこうなりました。
エレピの音が不自然なくらいキュートですね。

ちなみに最近は真空の誘電率を覚えてしまいました。よく使うので。
出てこないときは9*10^9に4πをかけて逆数をとると真空の誘電率が出てきます。

18 - Weeping Talks
ダブステップを目指していたはずなんですけどね…
ワウギターがうるさいだけの2つ打ちのナクション系になってしまいました。

19 - Ceased Emotion
One More Extra2曲目です。
まずカタカナで「シースド・エモーション」というタイトルが頭に浮かんで、
それに合わせてドラムンっぽい曲を作って、最後に英語のスペリングを決めたという経緯だったと思います。
「捨てられた感情」という曲名に反して、やけに明るくなってしまった気はしますが…

20 - うしみつ時の牛の大行進
「Snake Loop」のギターフレーズを流用したカントリー調の楽曲です。
というか「カウボーイとインディアン」という曲の露骨なパクリです。
すべての要素が底抜けにバカなので、頭を空っぽにして暴れまわるのが正しい聴き方です。

21 - 第二神明(8-bit style)
この曲もナイラーを名乗る前の曲のアレンジなのですが、
「タイトル画面BGM」以上にチップチューンのことを何もわかっちゃいない音になっています。

22 - Virus Gale(2013 Summer Remake)
シューティングゲームのボス戦をイメージした曲で、
リアレンジではありますが元々Boundaryとは無関係に作っていました。
ギターはベース代わりになってるだけで代わりにシンセがメロディを鳴らしている、というところに
サターンシュー感を感じてくれれば私は満足です。

23 - パステル
個人的なDarkened Redのベスト曲。
のんきなブラスの洪水をぶち破ってくる歪んだオルガンと、
そんなことを気にせず我が道を行くドラムがなぜかうまいこと混ざりあった曲です。

この曲の「二匹目のドジョウ」はよく狙いはしますが、今のところ実現はしてないです。

24 - 魔神狩り
3曲目のExtra Stageで、よくある音ゲーガバです。誤解を恐れず言えばSampling Master MEGA的な。
この曲は曲自体より、鬼譜面のFakeノートを使った暗記地帯の調整の印象のほうが大きいです。

25 - Black Eyes of Jupiter
2012時点の私がホルストの「木星」とゼロ年代のステマニパッケージでおなじみZシリーズの要素を混ぜようとして
どちらの面影も残らなくなってしまったのがこの曲です。

26 - Fascinating Marriage (リア充爆殺MIX)
1曲目のExtra Stageで、「Fascinating Marriage」を相当早回しにアレンジした曲です。
原曲のイメージを反転させて、「愛が憎い」という感情の爆発を、
高速なハードコアで表現してみました。

27 - The First Phoenix
EXフォルダのOne More Extraで、記念すべきPhoenixシリーズの一曲目。
ゼロ年代のとあるステマニパッケージのハードコアなボス曲シリーズがモチーフなのですが、
GS音源でない(VA系の)シンセを扱いきれずに中華風高速テクノになってしまいました。

28 - カット=カット=ミラーの懺悔すべき祝福
3曲目のOne More Extraです。
昔「トム=ミラーとダイナミズムの終焉」という曲を作っていて、
この曲はその曲の続編となります。
ガムランを取り入れたハウスで、エンディングっぽい感じです。



29 - Accelerando(Instrumental Version)
Heavenly Orangeからの先行収録曲、という扱いでしたが
いろいろと理由があって実質的にDarkened Redの収録曲となってしまいました。
ユーロビートが流行っていたころの、Jポップのレーベルが作ってた
「ちょっとアレな和製ユーロ」っぽさを狙った曲です。

☆あとがき
 いかがでしたか?
あくまで私の解説なので、皆さまはもっと違った印象を受けておられるかもしれませんが、
それはそれとして、比較して楽しんでいただければと思います。
 それでは、次はDisc : 02と称してHeavenly Orangeの楽曲で似たようなことをやると思いますので
その時にお会いしましょう。
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