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アルミビジョンのブログ

某所から移転してきました。 主に音ゲーシミュ用の何かとDTM。

Dwelled On、あるいは「ゴアトランスにまつわる懊悩」
時間が経ったので、そろそろDwelled Onの話をしましょう。





〇アルバム全体について
タイトルの「Dwelled On」ですが、元の英語にはないニュアンスの意訳ですが「懊悩」という意味です。
M3に出すためのCDを企画していたタイミングが現実で前職を退職するために色々モメていた+プライベートでも問題が起きてたせいで非常にメンタルが参っていて、その状態で辞書で探した何個かの言葉の一つです。
後の案は覚えてないですが、少なくともネガティブな意味ではあったはずです。
プラス、今まで5枚ほど作ったCDはすべて手工業で用意したもので、印刷物があまりきれいではなく、一度印刷屋さんにその辺頼んでみようという考えがありました。
「それで見栄えが良くなるなら曲も一層力入れないといけないよね、今何が一番できる?」
そう考えた結果Beam Standard名義のゴアトランスアルバムをやろうということになりました。
こういう時は手になじむジャンルを作るのが一番だと思ったので。

ゴアトランスにガッツリ触れはじめたのは2019年のころだったと思いますが、
そこから3年半ほど断続的に触れ続けたところ、少し気になったことがありました。
ゴアトランスって由緒正しい昔ながらのゴアトランスと所謂ネオゴアトランスがあるのですが、ネオゴアトランスも初出から大分時間が経って「新しい」って言えるのか?
(偶然にも今回のM3で2008年くらいリリースのネオゴアトランスCDが頒布されてたっぽいです)
重箱の隅感はありますがその辺解決できないかなー、と思いながら作業してました。
他にも、あくまでゲーム的要素やフィルターワークの音像が好きなだけでゴアトランスに魅入られて、
日本の法律的に無理ですがそれ以上の「文化的な部分」に踏み込まずにゴアトランスを作り続けていることも製作中常に気になっていて、
そういうものをすべてまとめた私の「ゴアトランスにまつわる懊悩」が偶然にも別途決めたタイトルとマッチしてくれたように思えます。

というわけで、Beam Standard名義のゴアトランスアルバム「Dwelled On」です。
王道から超実験作までいろいろ詰め込みました。



〇各曲解説
Tr.01+Tr.02 Intro + Dwelled On
この曲は曲そのものよりも「ノンストップで次の曲に移行する演出」がやりたくて作りました。
古いゴアトランスのCDだとDJMIXじゃないフルアルバムでも全曲ノンストップだったりするので、それの真似です。
曲自体についてはCelestial Intelligenceをリファレンスにした王道のネオゴアっぽい感じで、
アシッドベースは展開ごとに動きを変えてますが軸になる部分はずっと同じ音だったりします。
元々はTr.01のイントロ部分にずんだもんの語りを入れていたのですが、
印刷物を先に発注したせいで権利表記を付け足すことができずボツにしてたりします。

Tr.03 Harder Way to Go
↑のトラックで全うなゴアトランスのアルバムだと思わせた上でのこの曲です。落差を作りたくて意図的にこの曲順にしています。
「ゴアトランスにまつわる懊悩」の中での取り組みの一つが他ジャンルを混ぜてみることで、
この曲はシュランツないしハードミニマルという無機質かつ爆音のハードテクノジャンルとの融合を試みました。
あれらのジャンルも曲の進行に対してフィルターワークを多用している印象があったので、
混ざらない道理はないだろうということでキックがズンドコするゴアトランスができました。
自力で音作りができないのでシュランツ部分の音はASIN氏のサンプルをそのまま使っています。

Tr.04 Kruphix 2023
ゴアナイラーEPからのリメイクです。
後述のMogisと違い、この曲は元々ロング版があったのであまりリメイクする理由もなかったのですが、
製作中スランプを感じたとき「気晴らしにMIDI打ち込みで作った曲をFLで作り直してみよう」と思ったのでサッと作ったのを手直ししたものです。
元々がStepManiaパッケージでL4M氏が譜面製作用に作っていたゴアトランス(公称はサイケだけど個人的にあれらはゴアだと思う)の模倣なので、
旧ロング版含めなんというか良くも悪くもわかりやすく展開しているところはありましたが、完成度のためにそこを崩すとこの曲らしさがなくなるなと思い、
基本的には音だけアップデートするのにとどめました。

Tr.05 INTI
元々は会場焼きコンピ14に投げた曲です。確かM3道中に寄った下呂温泉の安宿で一晩で書き上げました。
この曲の元ネタは遊戯王OCGの《太陽龍インティ》で、《月影龍クイラ》に相当する曲と2曲で無限ループするみたいなギミックを考えていたのですが、
後者を実際に作ったものがあんまり納得いかなかったので、今回はこの曲単独で収録しました。
この曲は相当お気に入りだったので弄るところないかと思っていましたが、
実際にプロジェクトファイルを見直すと製作時間がなかったせいか音量関係の処理がかなりヤバかったのでミックスを最初からやり直したのと、
リードのラスト1音が外れていたのが気になって色々試した結果結局消しています。

Tr.06 Mogis 2023
こちらもゴアナイラーEPからのリメイクです。
この曲は音ゲーシミュ用のショートバージョンしかなく、旧譜にもそのバージョンをイントロ的に入れてただけなので、
今回リメイクしようとは思っていました。
音ゲー関連でゴアトランスというとコナミの角田利之氏の作品群の影響を避けることはできず、
元のMogisもがっつりGENOM SCREAMSの影響が出ていたので、アレのロング版を意識して再構築しました。
ただあんまりがっつりそのままっていうのもよくないので独自要素として途中で三連符主体の展開を入れています。

Tr.07 Kepler 186f
This is (still) ELEMENTAL EPに引き続き、トランスとワールドミュージックを融合したジャンル「エレメンタル」です。
(AQUA PROJECT氏の創作ジャンルです)
今回はトランス要素をゴア/サイケ系にガッツリ振った上でシャンガーンエレクトロやアマピアノのような民族音楽ともクラブミュージックともとれる音楽の要素を足しました。
ただエレメンタル自体があまり長尺を想定してないジャンルなので、今聴きなおすと展開がいろいろとダレてるかなという気はします。

Tr.08 Karametra
マジックのテーロス次元の神が元ネタのシリーズ。新規はわりと久々な気がします。
ケイラメトラは緑白の神でマナ加速能力を持ちます。これを「土地が豊かになる→草木が生え伸びる」と拡大解釈して、
ひたすら音を付け足す形で展開を作りました。
ただし元ネタの神たちは元ネタの元ネタたるギリシャ神話の神のように強い二面性を持つので、一度音が止まって「裏返ります」。

Tr.09 Lost Humanism
印刷物の都合で曲名だけ先に決めてギリギリまで何も思いつかなかったやつ。
この曲もTr.01~02のように別曲扱いのアウトロ部分がノンストップで繋がるようにしようと思っていたのですが、
なんかそれとは別にアルバムのアウトロが生えてきてしまったのでこの曲は独立した1曲になってしまいました。
Tr.06で部分的に取り入れている以外で三連符を主体にした曲がなかったので、とりあえずやってみたという感じです。
なんかゴアトランスというよりは音のやさしいニュースタイルガバみたいになっちゃってます。
三連符系のゴアトランスはもっと研究しないといけないのでしょう。

Tr.10 Outro
で、生えてきたアウトロです。
ダウンテンポサイケみたいなのをゴアで作ろうとしていろいろやってた結果、あまりにもラストにふさわしいものができてしまったので、
これを最後に持ってきました。
Tr.05の「うまくいかなかったもう1曲」も似たような曲調で、そのリベンジの意味もあります。



ということで、現状のBeam Standard名義の集大成たるDwelled Onでした。
諸々の理由でいろんなジャンルを浅く作る人間なので、次この名義で譜を用意できるのがいつかはわかりませんが、できればそう遠くない時期に出せることを願っています。自分の行動に願ってどうするんだ。
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